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[イベントレポート]10/29_宮内優里 WORK SHOP -音楽としての松江-

  • #ワークショップ
  • #宮内優里
  • #ライブ

煎 SEN初のイベントレポートは10/29(土)に行われた音楽作家の宮内優里さんをお招きしての、昼の部のワークショップと夜の部のBGMライブについてです!
このレポートでは主に昼の部のワークショップについて紹介していきます。

昼の部は松江市を巡って、参加者それぞれが集めた松江市の音を組み合わせて、一つの曲を作るという、聞いただけでもワクワクするワークショップ。
夜の部は宮内さんの真骨頂である、即興で音を足して足して作っていく曲を聴きながら、1Fのカレー屋さん「KARLY」で食事をしたり、気ままに好きなことができるBGMライブ。
うーん、楽しみすぎる、、、、

当日の朝、事前にスタッフで集まって準備をしていると、誰かのスマホに通知音が。

早速宮内さんが宍道湖へ音の収集に行っている!!
宮内さんも松江市への訪問とイベントを楽しみにしてくださっている気がして、なんとなくテンションが上がりました!
そして会場の煎に着くなり、すぐさま音の編集。
さすがです、、、

そうしている内に参加者の方々が続々と会場に。

今回は音の収集と作曲のワークショップということもあって、あまりたくさんの人数を呼ぶことは難しいと、10名くらいを目安にイベントの集客を行っていたのですが、我々スタッフもこのイベントを非常にワクワクしていて、そんなイベントだと自ずと集客にも力が入ってしまい、結局13名のイベント参加となりました。
宮内さんから、大丈夫かなーちゃんと成立するかなーという声も漏れていて、心配させてしまい申し訳なかったです。
けど楽しみなイベントだと自然と周りに声をかけてしまいますよね?そうですよね?

そうしてちょっと定員オーバーの中、ワークショップがスタート。
運営責任者の挨拶から始まり、宮内さんからワークショップの説明があった後、早速松江の街へ音の収集に出発!

外に出てみると、晴れているし気温も過ごしやすく、当日は最高のお天気でした!
大人数で共通の目的地に向かって、話しながら散歩している時間が、懐かしくもあり、新鮮でもあって、早速楽しい!!
15分ほど歩いて宍道湖のほとりへ向かいます。

宍道湖近くで一旦集合して、再集合の時間と場所を確認。完全に遠足気分!
そしていざ音の収集スタート!

それぞれの場所、それぞれの方法で音の収集。
人間は普段、音を拾いすぎることによって目の前の行動に集中できなくなってはいけないので、無意識に様々な音をシャットアウトしてるとのこと。

音の収集では、目を閉じて、普段拾わない音に耳を傾けてみる。

すると普段は聞こえていない音が聞こえてくる。
足音や衣擦れの音。虫の音、木の枝や葉が揺らいだ音。宍道湖のさざ波や、コンクリートに打ち寄せる波の音。他人が踏んだ松ぼっくりがくしゃっとつぶれる音。
さらに、同じ草を掻き分ける音にも一音一音違いがある。同じ木を踏む音もすべて違っている。

音の種類や違いを楽しみながら、夢中で音を収集していると、あっという間に再集合時間10分前に。
会場にもどって宮内さんに曲に組み込んでほしい音を送ります。

全員が送信完了して暫くすると、宮内さんから「こんなにたくさんあるんですか!?」と驚きの声が。
一人あたり2,3種類の音を送るということでしたが、みなさん楽しく音を収集しすぎて、音が過剰に集まっていました。
かく言う私も音を7種類も送ってしまいました。笑

ここから作曲パートがスタート。

先ずは参加者から集まった松江の音を組み合わせます。
きちんと参加者全員の音をつかっているか、入念に確認しながら作曲してくださるところに、宮内さんの性格が出ているなーと思いながら、作曲作業を見守ります。

音を組み合わせるときには、変に意図をもちすぎず、気持ちの良さそうな音をなんとなく組み合わせるとのこと。
曲を作るということは、難しいことでも大変なことでもなく、もっと気軽で楽しいことであることを伝えたいという、宮内さんの考え方による手法が本当に素敵だなーとしみじみ。

次は組み合わせた松江の音に参加者全員一人一人が、黒鍵の音を押して音階を重ねていきます。

難しいことは考えず、それぞれが気持ち良いタイミングで、鳴らしたい音を、なんとなくの長さで重ねていきます。
宮内さんの全力の「その音良いですねー!」「そのタイミング最高!」「今の音で深みが出た!」「和音になって綺麗!」の褒め言葉に、全員が心地よく音を重ねる時間。

社会的に大人と呼ばれるようになって10年以上経ち、意図した行動や狙って上げた成果に対して褒められることはあっても、心のままに起こした行動を褒められるというのは、胸がキュッと締め付けられるような、久しく忘れていた感覚でした。
こうした経験によって人は何かを好きになり、何かに夢中になっていくのだろうなーと感じる時間でした。


そして全員が音を重ねたところで、一度曲を聴いてみます。
私自身は、自分の音を探しながら、重ねた音の不思議な調和に驚き、この場にいるみんなで作り上げた曲への愛着を感じていました。
他の皆さんはどのように感じていたのでしょうか?

最後に宮内さんの締めの挨拶です。
非常に即興性の高いワークショップなので、参加者の皆さんが満足するイベントになったのか終始ご心配されていました。
めちゃくちゃ新鮮で、温もりを感じる時間でしたよ!
本当にありがとうございました!!!

夜の部は、即興で音を足していきながら曲を作っていくBGMライブ。
1日ご一緒して、宮内さんの人柄や考え方や曲の作り方に触れた上で、宮内さんの音楽を聴いている時間は本当に贅沢な時間でした。

今後も煎のHPでは、開催したイベントのレポートをあげるので、気が向いたら見にきてください。
宜しくお願いいたします。

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宮内優里さん

音楽作家。1983年生まれ。2006年にRallye LabelよりCDデビュー。これまで7枚のアルバムをリリース。最新作は『Beta(2022)』。生楽器の演奏とプログラミングを織り交ぜた、有機的な電子音楽を制作する。ライブ演奏では即興の多温録音によるパフォーマンスを行う。近年はBGM演奏という形を中心に、全国の書店、図書館、美術館、など、様々な場所で演奏している。自身の活動以外では映画、映画「岬のマヨイガ」、「リトル・フォレスト」などの映画音楽をはじめ、NHK・EテレなどのTV番組、CM、舞台など、様々な形で音楽制作・楽曲提供を行っている。KENJI KIHARAとの音楽プロジェクト「BGM LAB」などでも活動中。