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煎言万語 vol.6

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三浦半島に行ってきた話の続き。(前回の話はこちらから)

島根県は消滅可能性都市だらけ。松江市と出雲市以外はなくなっちゃうかもしれない。
そして、意外なことに都心に近くてそこそこ便利な三浦市も、消滅可能性都市。

神奈川県 三浦半島魅力最大化プロジェクトより 令和2年3月

自分にとって島根は、個の存在を大切にしてくれるとても有難い舞台。どれだけ無名な人間でも、誠実にあたたかく向き合ってくれる人が多い。独立して煎を始めることができたのも、いつ振り返っても奇跡のような気もするし、別の地域で同じことを再現しろと言われてもほぼ不可能だ。

三浦ではどうだろう。特にお願いされているわけではないけれど、自分には何ができるか少し妄想してみる。なんとなく正しい気がするけれど、三浦には能力も高くてお金も持っていて野心的な人がたくさん来ているはずだ。都心に近いのもあっていろいろな思惑を持った人が三浦を訪れ、海がみえる見晴らしのいい場所であれこれと企む。その光景を想像するだけで少しやる気はなくなる。(勝手に)

逆に、昔から三浦に住んでいて「代々受け継がれている土地を守っている」というプライドを持った人は、そういう都心の欲望からは距離を置き、少しかたくなな態度をとっている。外からやってくるやつらを「また来たか」と冷めた目で見ている。ただの個人的な妄想だけれど、その光景を思い浮かべるとやっぱり少しやる気はなくなる。(アイス食べたい)

どちらにも無関心でいられるのが、ベッドタウンとしての三浦に移り住んできた人たち。高齢化が進んでいるのもあって、毎日を平穏に楽しく暮らしていくことが切実なテーマだろう。その人たちにとって、都会の若者がたくさんいる飲食店は場合によってはストレスになるだろうし、おそらく過去に「よそもの」扱いをされてしまったであろう経験から、古くからそこに住んでいる人たちとはそこまで深く交流はしていないはずだ。(どちらも極端な妄想です)

三浦には、「都市的経済が生み出す所有欲」と「地縁・血縁的所有欲」の対立がある。そして、お茶の間でテレビを見るように、ぼんやりとその対立を観察している多くの移住者たち。おそらく、それぞれがそれぞれのことをよく思ってはいない。

新しくやってくるプレイヤーは、その対立の間でうろうろしている不審者のようなものだ。そういうトリックスター的存在が求められているのだろうか。

「都市的経済が生み出す所有欲」一派たちは、労働者たちに「自然豊かな上質な暮らし」を提供しようとする。日中は企業戦士(古いけど)として猛烈に働く労働者は、その疲れ切った体を癒してくれる「優しさ」を求めている。われわれ企業戦士は、「自然豊かな上質な暮らし」にとても弱い。できるだけ長く、自然とか、無垢とか、天然とか、本物とか、そういうものに触れていたい。

しかし、われわれ企業戦士は、満員電車に揺られるたびに人を人と思わなくなり、どこまでも整然と続くコンクリートジャングルが、わたしたちから情緒を奪い合理的な企業戦士(もう人間ではなく「マシーン」寄り)へと変えていく。資本や事業家からみると、労働者というのは柔軟性が高い知能を持ったある種の「生産設備」みたいなものだ。

そして、わたしたちは反作用的に大地に帰還しようとする。資本主義経済に、工業化社会に、そういう「自分らしさ」を奪う権力的なものに対抗するために、人間性を回復しなければいけないという思いを強く抱くようになる。その思いは、「自然豊かな上質な暮らし」を求める共同体の意志に変わり、その幻想が「ベッドタウン」を作り出した。(絶対違うのでちゃんと調べてみてください。)

その結果生まれたのが千里ニュータウンであり、多摩ニュータウンである。(絶対違います。)

皮肉なことに、ベッドタウンは資本主義経済を暮らしや余暇の側からうまいこと補完し、工業化していく社会をこれまたうまいこと加速させた。企業戦士は、「自然豊かな上質な暮らし」を手に入れることで「24時間戦える」超人に進化する。(皮肉なことではなくて狙い通りなんだろうな。この仕組みを発明したやつえぐい。。。)

三浦もベッドタウン機能が整備され、90年代前半に人口はピークを迎えたらしい。つまり、その当時子育て世代だった移住者たちはすでに退職を迎え、介護・福祉施設に移っている人も多いだろう。なんと、ベッドタウンはパラマウントベッドタウンに進化しているのだ。(そろそろ怒られる。)

果たして、「地縁・血縁的所有欲」一派はその間何をしていたのだろうか。

続きは次回。(たぶん)